雪雲
雪にはならなかった。
でも雪雲の気配は濃厚だ。
その重さと沈みこむ。
わたしは、痛み、を媒介としてしか、世界と繋がれないのだろうか。
じぶんの歓びを大事にすると、どんどん世界から切り離されてしまう。
どうしてなのだろう?
正直言って、歓びを循環させるって、全然イメージできない。
わたしの歓びが、誰かを幸せにする、とは到底思えない。
わたしが大好きな人が、わたしが関わることで、幸せが増えるとは思えない。
わたしが大好きな人たちは、わたしとは関係のない、縁のない世界で生きている。
切り離されていく。
ますます。
苦しくなって、世界に繋がろうと手を伸ばす。
痛みや傷つきから手繰り寄せると
こんなわたしでも、すこしだけ、誰かを幸せにできる。
その小さな幸せのなかでしっかり生きてくしかないんだよ。
でも…つまらない。
…
雪雲のなかで、粒子が弾ける。
あーーでも今は
誰かやじぶんを「傷ついた人」とは見ていない。
今はそれはないんだ。
すっぱりと。
…
痛みだけ、の人も
歓びだけ、の人も、いない。
どちらも在る。
痛みは転じて歓びとなり
歓び転じて痛みとなる
けれどもし
どの瞬間もどちらも在るなら
つまり
どの瞬間もすべてが在るなら
と想像してみて
現実はそうなのかもしれない、と思う。
世界はずっと、そのようにしか
存在していないのかもしれなかった。