雪雲


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雪にはならなかった。
でも雪雲の気配は濃厚だ。
その重さと沈みこむ。


わたしは、痛み、を媒介としてしか、世界と繋がれないのだろうか。

じぶんの歓びを大事にすると、どんどん世界から切り離されてしまう。


どうしてなのだろう?


正直言って、歓びを循環させるって、全然イメージできない。

わたしの歓びが、誰かを幸せにする、とは到底思えない。

わたしが大好きな人が、わたしが関わることで、幸せが増えるとは思えない。

わたしが大好きな人たちは、わたしとは関係のない、縁のない世界で生きている。

切り離されていく。
ますます。

苦しくなって、世界に繋がろうと手を伸ばす。

痛みや傷つきから手繰り寄せると

こんなわたしでも、すこしだけ、誰かを幸せにできる。

その小さな幸せのなかでしっかり生きてくしかないんだよ。

でも…つまらない。


雪雲のなかで、粒子が弾ける。


あーーでも今は

誰かやじぶんを「傷ついた人」とは見ていない。

今はそれはないんだ。
すっぱりと。




痛みだけ、の人も
歓びだけ、の人も、いない。

どちらも在る。

痛みは転じて歓びとなり
歓び転じて痛みとなる


けれどもし

どの瞬間もどちらも在るなら

つまり
どの瞬間もすべてが在るなら

と想像してみて


現実はそうなのかもしれない、と思う。


世界はずっと、そのようにしか
存在していないのかもしれなかった。